横田小児科医院様
導入事例

医師の「目」となるAI医療機器。nodocaで変える診療風景

横田小児科医院

院長:横田俊一郎 先生
nodoca導入時期:2023年春
神奈川県小田原市の小児科クリニックとして、地域の小児医療を支える横田小児科医院。院長の横田俊一郎先生は、患者により良い医療を提供するため、画像所見を利用した丁寧な身体観察を実践しています。また、2022年まで日本外来小児科学会の会長を務め、全国の小児医療における研究体制・医学教育の強化などを推進してきました。

nodoca(※1)はインフルエンザの検査機器ですが、横田先生は咽頭をクリアに診る「視診器」としての可能性をnodacaに見出し活用されています。インフルエンザの判定以外にnodocaをどのように診療に活用しているか、また将来の小児医療にとってnodocaが役立つポイントをうかがいました。

小児科医として、学会長として

▲横田俊一郎(よこた・しゅんいちろう)/横田小児科医院院長、日本外来小児科学会前会長。東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院小児科へ入局。その後、大学病院、関連病院で小児科診療に従事。1993年、小田原市にてご尊父の医院を承継し開業。日本小児科学会専門医。

——コロナ禍を含め2022年までの約6年間、日本外来小児科学会の会長を務められました。どのような展望を持って、学会長の活動をされてきたのでしょうか?

横田先生:日本外来小児科学会の会則に「小児の総合医療と外来医療に関する研究と教育を促し、もって小児医療の向上をはかることを目的とする」というものがあります。それに倣い、研究活動と教育の推進に注力していました。

研究活動においては、患者に提供している診療の意味や、投与する薬の効果をきちんと調査していくことが学会として大事だと考えています。ですが、臨床研究はなかなか大変で、特に権利保護の点で一筋縄ではいかない。そのあたりが上手く回っていくように一生懸命働きかけをしていましたね。

教育では、次世代の小児科医を育てることに注力していました。昔は医師の個人技、秘伝の技は周りの人には教えられず、診療技術は属人的なものでした。しかし、今はそれを次代に伝承することが大事です。特に学生や研修医の教育は、学会全体で着実にやっていこうというコンセンサスが取られています。

——横田先生から見て、小児科クリニックの抱える診療上の課題はなんでしょうか?

横田先生:多くの小児科クリニックでは、風邪の診療が中心です。慢性疾患やアトピーなどを専門的に診る小児科医もいらっしゃいますが、多くの場合、日常的な風邪の患者さんが減ると経営的に大変です。昔はよく処方していた抗生物質も、今はほとんど出しません。同様に咳止めや鼻水止めの薬も出すことが減り、だんだんと世の中の流れが変わってきています。

端的に言えば、風邪で小児科医療を成り立たせる時代は終わったのかもしれません。アメリカでは、風邪で病院に行くことはありません。当日にかかれるとは限らないですし、救急診療に行っても軽い症状の患者は何時間も待たされます。そして、何より高額な診療費を取られてしまう。すぐにとは言いませんが、近い将来、日本もそうなっていくでしょう。

このような状況を見越して、小児科クリニックが風邪の診療以外の収益で成り立つ形を作る必要があります。今後は診療の半分くらいは健診や予防接種などの「予防医療」が中心となっていくでしょう。患者さんの負担が少ない枠組みで、健診を法的に増やしていくことなども必要だと思います。

医師の「目」となるnodoca

——先生個人の診療の話をお聞かせてください。咽頭に限らず、さまざまな画像所見を記録しているとお聞きしました。なぜ画像所見を積極的に取られているのでしょうか?

横田先生:テキストベースの所見の書き方は人によって違うので、普遍的な評価が難しいことがあります。本当の部分は文章ではなかなか見えてきません。そこで、なるべく患部を撮影することにしています。たとえば、足の発疹やBCG接種の跡などはよく記録しています。

撮影した画像は電子カルテに貼り、患者やご家族と経過を共有します。画像を見てもらうと患者さんやご家族の治療への納得感が違いますね。口頭で病名を伝えるよりも、画像のほうが病状が伝わるんです。

——これまで咽頭画像も撮影されてきたのでしょうか?

横田先生:実は以前、iPadで咽頭の撮影を試みましたが、影が入ってしまうなどして上手くいきませんでした。nodocaの導入前はなかなか良い道具に巡り会えず、「喉を撮る」ということに長年憧れていたんです。画像を撮って、すぐ患者さんに共有できる機器を求めていました。

 

そこである時にnodocaに出会いました。nodocaであれば咽頭を鮮明に撮影でき、なおかつ短時間でパソコン上に表示することができます。現在は皮膚をiPadで、咽頭をnodocaで撮影しています。

——インフルエンザの判定以外の場面では、nodocaをどのように使われていますか?

横田先生:今は咽頭観察のツールとしてもnodocaを利用しています。ヘルパンギーナや手足口病、アデノウイルス感染症などの咽頭所見を観察することができます。特徴的な所見が見られた場合は、そこから迅速検査を行うこともあります。まさにnodocaが私の目になっています。

個人的には、nodocaをインフルエンザの判定だけに使うのは勿体ないと感じます。気軽に咽頭を撮影してその画像を共有するための機器としても発展してほしいですね。

かつて、耳の診察は小児科医にとって難しいものでした。しかし、30年ほど前に拡大耳鏡が普及してからは、耳鼻科の独壇場だった耳を小児科医もある程度診れるようになったのです。nodocaも拡大耳鏡のように普及していけば、小児科医が提供できる医療の幅が広がるかもしれません。

研究・教育のハブとなる可能性を秘めた存在

——nodocaが小児科で普及した場合、小児科医に与える影響は何でしょうか?

横田先生:外来小児科学会の中で導入する医師が増えたら、nodocaを使って共同研究しようという動きが出てくるかもしれません。例えば、nodocaで撮影した特定の画像所見と病原ウイルスの検査結果を組み合わせれば、新たな検査法の研究に生かされることも考えられます。

また、咽頭を撮影する機器としてnodocaが広まれば、研究活動の裾野が広がり多くの小児科医が研究活動に携われるようになるのではないかと思います。

——テキストだけではなく、画像を見せ合って議論を交わせるというのが良いですね。

横田先生:一箇所に画像データを保存し、それらが医師間などで共有できると尚良いでしょう。データベースが適切に利用されれば、新たな知見が生まれます。それが研究の発展に貢献していけば、患者さんも恩恵を受けることができます。

——小児科の患者さんに(※2)対して、nodocaが貢献できることはあるでしょうか?

横田先生:例えば、ただ言葉で中耳炎と伝えても、患者さんは治療途中で来院されなくなってしまうことも多いです。ですが、中耳炎で耳の中が腫れている画像を見せると、患者さんはこんなに腫れてるのか、また来なければいけないと考えて、通院を継続する可能性が高まります。

同様に、nodocaも患者さんが病気を理解し、納得することに役立つと思います。痛みが取れても、治りきっていないことは沢山ありますから。画像があれば、症状が良くなっても経過が見たいから来てほしい、と医師が患者さんに伝えても説得力がありますよね。特に小児はうまく状況を表現できないため、治療意義を高めるためには親御さんの協力が不可欠です。

おわりに

——今後nodocaに期待していることはなんでしょうか?

横田先生:侵襲性の少ないインフルエンザ検査としての普及はもちろん、咽頭画像を撮影・記録しておき、今後何に使えるかを探求していくことも大切です。そうすると、もっと新しい道が拓けてくるかもしれません。一目で見てこの病気だと分かるように、データを溜めておくことが大事なんです。

nodocaで記録した画像を通じて病気の新たな判別法がみんなに広がっていけば、より簡易に疾患を見つけられるようになる未来もあるでしょう。

個人情報保護などのハードルはありますが、医師同士が撮影した画像を共有しあえると面白いですよね。特定の病気の場合に咽頭の所見はこうなるといった、新たな共有知が生まれてくるのではないかと思います。

——nodocaについて、全国の医療従事者へメッセージをお願いいたします。

横田先生:咽頭は開業以来、私が最もよく診ている部位の一つです。他の多くの医師も、咽頭所見を大切にされています。もちろん、医師一人ひとりが確実に診ることは大切ですが、所見内容を医師同士で広く伝えあい、共有知を育むこと。これが将来の医療、そして子どもたちの未来のために必要なことです。

 

nodocaは咽頭画像を通じて医師と患者、そして医師同士をつなぐ可能性を秘めたツールだと思います。まずは一度、実際に手に取ってnodocaを使ってみてほしいですね。

インタビュー・写真:水谷秀人

※1)nodoca、nodocaクラウドは、アイリス株式会社の登録商標です。

※2)6歳未満の患者さんに対する使用は、有効性及び安全性が評価されていないため、推奨されておりません。詳しくは添付文書をご参照ください。

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